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「ノーケア問題に関する若干の考察」
学籍番号004 高 乗 正 臣
はじめに
本稿の主題に入る前に下記の点を確認すべきであると考える。
広瀬コーチは「ノーケア」問題に関して次のように述べている。
「まず、ノーケアは守る側の意思統一が最大の目的です。」
この点は、極めて重要な点であると思われる。
「意思統一」が出来ていなければ、何事もうまくいかないことはコーチの指摘するとおり自明である。
確かに、球団の長い歴史を回顧すると、「意思統一」が出来ていないために、落とした試合は少なくない。
まずは、何よりもこの「意思統一」の徹底こそ、最大のテーマである。
第1節 「ノーケア」の意味と目的
ところで、ここで問題となるのは、「ノーケア」の指示が出た場合の全選手間の「意思統一」の「内容」である。
そこで、論点は、
第一に、「ノーケア」の意味(定義)と目的の確認であり、
第二に、「ノーケア」の指示の出た場合の具体的遵守事項である。
言葉を換えれば、「ノーケア」の指示の出た場合に
@やってはならないこと
Aやらねばならないこと
Bやってもよいこと
の区別を明確にすることが重要であろう。
まず、第一の点に関して、広瀬コーチは次のように述べられる。
「ランナーの動きや揺さぶりに惑わされず、野手は打球の処理に一番適した位置に守備位置し、アウトの確率を高める。
バッテリィーは、盗塁を警戒しウエストやストレートを中心に配球する等・・・余計なことを考えずに、バッターを討ち取る為だけの配球を考える。守備にたいする意思統一です。」
この広瀬コーチの見解は、まさに、「ノーケア」策の意味と目的を的確に示している。
まさに「正論」といえるであろう。この説明に何ものも付け加える必要を感じない。
そこで、上記第二の点が問題となる。
上述の「ノーケア」策の目的から推察すれば、自ずから、「やってはならないこと」や「やらねばならないこと」等が明確になると考えられる。
第2節 若干の考察
そこで、私見として次のような点が指摘できると思われる。
@やってはならないこと
1.1塁ランナーがいる場合、2塁手・遊撃手が盗塁に備えてセカンドベース寄りに
守備位置を変えて、ヒットゾーンを広げてはならない。
2.1塁ランナーが盗塁のスタートを切った場合、2塁手・遊撃手がセカンドベース
に早く入ってしまって、ヒットゾーンを広げてはならない。
3.投手は1塁または2塁ランナーに気をとられて、打者に打ちやすいボールを
投げてはならない。
4.捕手を含めた野手は、ランナーに気をとられてランナーを刺すために無駄な送球
をしてはならない。
Aやらねばならないこと
1.野手は、最も打球を処理しやすい場所にいて、確実にアウトを取らねばならない。
・・例えば、無理に併殺を狙うのではなく、確実に一つのアウトを取るよう心がける。
2.投手と捕手はランナーを気にせずに、全力で打者に向かい、アウトを取らねばならない。
3.全選手は、ともかく、アウトの数を増やすことを第一目標としなければならない。
Bやってもよいこと
1.ランナーが明らかに「暴走」と思われる走塁をしてきたら、捕手はランナーを刺してもよい。
2.ランナーが異常なリードをしているような場合には、投手・捕手は牽制球でランナーを刺してもよい。
第3節 「攻めの戦略」としてのノーケア
この点に関して、広瀬コーチは次のように述べている。
「ノーケアは『攻めの戦略』なのです。」
この広瀬コーチの見解は極めて重要である。つまり、相手のランナーに気をとられて、アウトに出来る打球をアウトに出来なくなるようなことは避けるべきであり、あくまでも、こちらのペースで相手からアウトをもぎ取る。
「ノーケア」策は、極めて「攻撃的な戦略」であるという点を看過してはならない。
この意味からすれば、ランナーの「明らかな暴走」や「ボーンヘッド的なプレー」に対しては、当然これをアウトにするために猛然と襲いかかる「攻撃的な姿勢」が求められよう。
例えば、投球を捕手が捕球したとき、鈍足のランナーがノロノロと2塁ベースに向かっているような場合には、捕手はセカンドに送球し、その鈍足のランナーを殺すのが当然であろう。
なぜならば、「ノーケア」策は「攻めの戦略」であるからである。
そのように考えれば、ランナー1塁の時に、1塁手がベースに着いているべきか否かの問題はそれほど、本質的な問題ではないと思われる。
要は、全選手が、コーチのいう「ノーケア」戦略の趣旨と目的を理解して、各自がそれぞれの守備位置で「意思を統一」することが肝要であると考える。
おわりに
これまで、述べてきたように、選手の「意思統一」が何よりも重要であるとすれば、平素の練習試合においても、時には「ノーケア」策を実行し、実際に選手がこの戦略に慣れておく必要があると思われる。
選手各自が、この戦略の意味と目的を理解し、実際のプレーとして体験を積んでおけば、ここぞという重要な試合においても平常心・自然体で臨めるものと考えられる。
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2003年7月15日 |
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背番号4 |
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