野球学講座 第一回 「ストライクについて」

みんなが知っているように、野球では投手が投げた球がバッターにとって打ちやすいゾーンに入ったときには、審判(球審)は大きな声を出して右手を挙げて、「ストライク!」と言います。
このストライクが3つになると、三振という結果となり、バッターはアウトになります。そして、アウトが3つになると、その回の攻撃が終わってしまいます。そこで、攻撃と守備が交代となります。
これをチェンジといいます。

このようなことは、ほとんどの人が知っていることですが、実は、この「ストライク」という言葉に深い意味があると思います。
といいますのは、ストライクとは何を意味しているのか?ここに意味があるのです。

ストライクというのは、日本語で「打つ」「たたく」という意味です。
審判が大きな声で「ストライク!」という場合は、これは命令形で「打て!」「たたけ!」という意味でしょう。
つまり、こんなに打ちやすい球が来ているのになぜ打たないのか?
「打たなくてはだめじゃないか」「打ちなさい」という意味だと思います。
バットをもってバッターボックスに入っているのだから、「いい球が来たら打ちなさい!」と審判がいっている。
「こんないい球を消極的に見逃すのはいけません」という意味で、ワンストライクとして、バッターを不利にする。
もう一度見逃したらツーストライク、もうだめだよ、今度は打ちなさいよという。
それなのに、またまた3回目もいい球を見逃すようならバッターはアウトにしてしまうよ。
「アウト」すなわち「外に出なさい」ということなる・・・・・・・・・・・。
アウトといわれたバッターは下を向いてバッターボックスを出て、すごすごとベンチに帰らなければなりません。

これは何を意味しているのだろうか。
「チャンスをみすみす見逃すことは良くない、チャレンジしなさい。」
という、とても積極的な生き方を理想としているのではないかと思います。
とても、アメリカ的な感じがしますね。
日本では良くない球(ストライクゾーンからはずれる球)を見極めて見逃すことを「選球眼がよい」などといって評価しますが、
アメリカの野球ではあまり評価しません。逆に良い球を見逃さずに打つことを非常に評価します。
国民性の違いですかね・・・。アメリカでは、消極的な姿勢を嫌うのでしょう。

これは人生にもいえないでしょうか。
アメリカにならって何事にもチャレンジ精神で挑んでいくことをもっと評価しても良いのではないかと思います。
同じ三振でも、「見送りの三振」と「空振りの三振」とがあります。
私は、若い選手にいつも言います。
「見送りの三振はだめだよ。同じ三振でも空振りの三振ならいいよ」と。

ヤクルトスワローズの応援歌の歌詞に
”野球はドラマだ、人生だ”・・・・というのがあります。
野球では、夢を抱いてチャレンジしよう!!と、言いたいのです。

まず、講座第1回は「ストライク」の話でした・・・・・・。おそまつ
                                                  (つづく)

                                             
2000年10月18日
背番号4
高乗正臣


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