連載コラム 「神様」 2003年度


<2003年7月12日

 ピーーーーー(という笛の音とともに登場・・・)

わしは、水道橋の「野球神社」の神様じゃ・・・・
夜遅くまで、「野球の話」をしとる選手がおるようじゃな・・・
誰じゃ・・・・藤田君とトクナオ君か?
熱心なことじゃな。
このくらいの熱意で仕事や勉強をすると大したものじゃが、野球の話だと、給料には影響しないからのう・・・・・・
しかし、二人の話を聞いていると、野球に対する「熱い思い」が伝わってくる。わしとしては、嬉しい限りじゃ・・・・

ところで、辻さん。ようキングスに入団したのう。
さすが、辻さんの目に狂いはない。
キングスというチームは、実によいチームじゃ。
どこが良いかというとな、「常に上を目指し、常に自分たちを反省し、より良い野球を追求しようとする姿勢」が見て取れるところじゃ。神様が言うのじゃから、間違いがない・・・

それにしても、トクナオ君の話は良い話じゃ。
一つ先の可能性を考えて(イメージして)、プレーする大切さ。
これがあるとないとでは、全然違う。
打撃、守備、走塁、中継、作戦・・・すべて、ここが基本じゃな。

ゲームにおけるプレーの中で、「味方を勇気づけるプレー」と「元気をなくすプレー」とがある。
例えば、ファールフライを全力で捕りにいく野手の後ろ姿は自軍の選手全員を元気づけ、奮い立たせる効果がある。
打てるものなら打ってみろと、気合いを入れて投げている投手の姿は、守っている全選手の集中力を高めると同時に、
相手が打ってきたら絶対にとってやるという気持を奮い立たせる。
そういう状態で、万一エラーが出たとしても、わしは許してしまう。
 しかし、気の抜けたようなプレーから生まれたエラーは、わしら神様仲間が作った憲法で、神様が許さぬことになっているのじゃ。

「一つ先を考えるプレー」
これでいって欲しいものじゃ・・・・・

ところで、あの背番号4の「会長」は元気にしとるかな?
あの男はよい人間じゃから、大切にせねばいかんよ。
わしは、あの男が一番「みどころ」があるとおもっとるのじゃ。
この前の試合の前夜に「てるてる坊主」を作っていたそうな・・・
可愛いところがある男じゃ。
決して、あの会長の悪口などは言ってはいかんぞ・・・
あの年齢で良くやっとる。
この前も、わしの神社の境内で一生懸命バットを振っとったよ。
打撃フォームの改造に取り組んでいるそうじゃ。
わしの見たところでは、間違いなく、後半戦から打ち出すと思う。

みんなも、ひとつひとつ研究と努力を重ねて、
キングスをより良いチームにしていってもらいたい。
みんなが、今のような気持を持ち続けている限り、わしは、常にキングスのベンチの後ろにおるから、安心して良い。

明日は、出雲と伊勢での「会議」に出るので、このへんで寝ることにする。
あまり遅くまで起きていると、神様の「カミさん」に怒られるからな。
では、おやすみ・・・

                                                     野球神社の神様より



2003年8月5日

ジャジャーン・・・・ガラガラガラ・・・

キングスの皆さん。わしじゃよ・・・・神様じゃよ。
久しぶりに見てたわい。何を?
あのゲームじゃよ・・・8/3のゲームじゃ。
ともかく、いいゲームじゃったな・・あの試合は。

トクナオ君が「キングスに入団以来の好ゲーム」と評価しとるが、
それはやや言い過ぎだとは思うが、ともかくいいゲームであったことは確かだ。
あの試合ほど、ベンチと選手が一体となった試合はなかったな。
キングスでは、ベンチを含めた選手の「意思統一」を課題としておったが、早くもそれが実現したな。
実に立派なことじゃ・・・・。
ああいうムードになっておるとな、神様仲間ではどうしても勝たせてやることになっておるのじゃ。

野球というのは、言うまでもなく、団体スポーツじゃ。
個人の技や実力がいくらあっても、個人競技ではない。
ワンマンチームというのは、わしらの業界では評価は低いものと相場が決まっておる。
年寄りから若手まで、経験者から初心者まで、色々な人間が一つにまとまって試合に取り組む姿勢を高く評価するというのが、わしらの業界での「基準」じゃよ。
わしが、キングスに特別の興味を持っているのもそこじゃ。
野球部にいた選手が、キングスに入ってからうまくなる。
40歳を過ぎてから野球がうまくなる。
経歴や過去の実績など、草野球では通用しない。
あんなチームといわれるチームが、名だたる強豪チームを倒す・・・。
これが何とも痛快至極。野球の醍醐味じゃな。
あの2年前の「イクターボ戦」を思い出す・・・・・。

そういえば、少し前に、
辻マネージャーが「野球のお守り」をもってきてくれたそうじゃな。
わしのところのものではないが、みんなが「お守り」を大切にすることは何にもまして良いことじゃ。
選手一人一人が、「謙虚な気持」になることにつながるから、とても良いことじゃよ。この謙虚さがなくなると、進歩がなくなる。
「自分はまだまだだ」「もっといいプレーをしたい」という姿勢が肝心じゃ。
わしからも、辻君にお礼を言いたい。ありがとう。

ところで、
辻君といえば、この前の集合写真の中の1枚に変なものが写っていたじゃろ。
あれは、わしとしても、ついうっかりしたのじゃよ。
試合が終わったので、水道橋の神社に帰ろうと思って着替えをしておったところじゃった・・・・。
まさか、わしが写真に入っていたとは・・・・うかつじゃった。
普通のカメラでは、絶対にわしの姿は写らないが、最近のデジカメの場合には、時として写ってしまうことがあることを
忘れとった。神様といえども、最近の科学技術の進歩にはついてゆけぬということだ。
しかし、わしとしても、みっともない姿を見せてしもうたものじゃ。
どうか笑わんといてもらいたい・・・・。

最後に一言・・
それにしても、あのゲームでは石井君がよく打ったのう。
あの選手は戦争中からよく知っているが、あの歳でまあ良くやっとる。
確か、わしの記憶に間違いがなければ、あの石井君は戦争中、戦争が終わったのを知らずに、横井庄一さんと一緒にグアム島の洞穴の中で生活しておったはずだ。
会長も確か戦争が終わったあともボルネオの洞穴に住んでいたようだが、二人とも「良い男」じゃ。
二人に共通するところは、もともと「実力がある」ということと「奥さんが怖い」ということ、それに戦争を体験しとるだけに
「逆境に強い」という点じゃよ。

そういえば、あの会長も、暑い中、ようやっとるな。感心するよ。
しかし、1打席、しかも四球で交代というのはいかにも寂しいのう。
会長も、もう少し体力をつけることが必要じゃが、それよりも何よりもみんながもっと会長を大切にしてやらなくてはいかんよ。
先週の試合前のゴロの練習で、徳留君が会長をいじめていたように見えたが・・・、そうではなかったのかな?

これからは、あのゲームのような「締まった試合」をたくさん見せてほしいものじゃ。
では元気でな・・・。
                                                        神様



2003年9月23日

久し振りじゃのう・・・・・・わしじゃよ・・水道橋神社の神様じゃよ。
10月に入ると、出雲大社に行かねばならんし、各地でお祭りがあって忙しくてかなわん。
最近も、神田明神と大国魂神社、谷保天満宮で祭礼があってな。
わしも、さすがに歳には勝てん。最近は平らなところで転んでしまうようになってしもうた。
それもそうじゃよ。わしも若い頃は、戦争中、ボルネオとジャワの方に行っておって、相当無理をしてきた。
その頃じゃよ。会長と石井君が戦争が終わったのを知らずに二人で「洞窟」の中に隠れておったのは・・・・。

10月をなぜ「神無月」というのかということはみんな知っとるじゃろうから、ここでは、いちいち説明はせぬことにする。

中川主将などは、「神様の声を聞きたい、聞きたい」と待っているそうな。
あんまり、みんなの要望が強いので、何とか時間を作って、出雲に発つ前に、キングスのみんなに挨拶ぐらいはしておかなくてはと思ってな。

ところで、このところキングスは「連戦連勝」だのう・・・・。
何よりのことじゃが、思い上がってはいかんよ。
問題は「試合の中身」じゃからのう。
雄高君が作っているホームページも更新が早くなっとる。
嬉しいかぎりじゃ・・・。

さてさて、今日の「東京電力」との試合は見せてもらったよ。
1対0  良く勝ったのう・・・。
確か6年前だったか、東京電力と試合をして手も足も出なかったな。
あれほど野球のレベルの違いを感じさせられた試合はなかった。
監督のヒット1本だけに抑えられた「完敗」じゃったな、あの時は。
ところがどうじゃ・・・今日の試合は、1-0の完封勝利じゃ。
これで監督の顔も立ったじゃろうて・・。
これで、相手チームはまた試合に呼んでくれるじゃろう。
まずは、めでたしめでたしと言っておこう。

今日の試合でも、トクナオ君が良く粘って投げたのう。
1死1.2塁から、3塁ゴロで2死2.3塁になったのが唯一のピンチだったが、落ち着いて2-3から打者を三振に打ち取ったのは立派じゃった。

さて、さて、肝腎の「試合の中身」の方じゃが・・・・
もう少しヒットを打たねばいかんな。雄高君と中川主将の2本だけでは試合運びが苦しいはずじゃよ。
1回の裏、1.2番の雄高君と中川君が、いずれもボールをバットのまっしんでとらえた良い当たりじゃったが、相手野手の正面をついた打球だったな。
これで今日は良い調子で行くのかと思っておったら、その後が何とも。
凡フライと凡ゴロの山を築いてしもうた・・・・これではいかんよ。
エンドランでしか点を取れないようでは、とても偉そうには言えんよ。
今日の相手投手くらいなら、少なくとも5.6本は打たなければいかん。
広瀬コーチも苦労が絶えんじゃろうて・・。
今度よく見てみい、コーチの頭に最近は白いものが増えとるよ・・・。

今日の試合は、わしが少しアシストしておいたのじゃ。気がついたかな。
というのは、わしが3塁ベンチの後ろで見ていたら、何と監督のヘルメットの中にマネージャーが全員に配った「勝利のお守り」が大切にしまってあったのじゃ。こういうのに、わしは弱い(涙)。実に弱いのじゃ。
実のところ、今日の審判の判定は相当いい加減なものじゃった。微妙な
外角の球をストライクにしたり、しなかったり・・・素人だから文句はいえんが。
トクナオ君が文句も言わずに良く辛抱して投げておったから、大事なときにはストライクにするように少し細工をしておいたよ。
中川君のセカンド牽制アウトも、完全にセーフだったが、何も文句を言わずにいた中川君は偉い。
みんな中川君を見習わねばいかんよ。

まあ、ともかく、「本店」か「支店」かは知らんが、「東京電力」に勝ったのじゃから、今日は喜んで良いじゃろう。
守りも堅かったのう。藤田君、砂川君、雄高君、中川君の好フィールディング、斎藤君のレフト前ヒット、和田君の粘り、涌井君のラストイニングの好投、ナベ君の堅実な守備、智君のキャッチャーフライ好捕、砂川君のセンター
オーバー、などなど、良いところはあったのう。

最後に、最近の会長は何か元気がないが、みんなが冷たくしているのではないじゃろうな?
あの会長は立派な人物じゃから大事にしてやらねばいかんよ。
最近少し気になるのは、会長の打席の時にインコースにボールが来ると、倒れ込んでボールをよけるのは何だろう。それほどのボールでもないのにおかしいのう・・・。
 よく、老人が横断歩道で自動車にひかれるが、会長もそれに近いかもしれんから、ともかく大切にしてやらなくてはいかん。
あの男は「草球界の宝」じゃ。最近は汚いヤジも飛ばさなくなったし、人間としてもプレーヤーとしても一流の選手じゃからな。わしは、あの会長が大好きじゃ。
みんなも優しく、大切にしてやって欲しい・・・・・。
それと、
辻マネージャーも、キングスの野球が気になって仕事が手につかんじゃろうが、一日も早く、一回でも多く、ゲームに参加して欲しいものじゃ。
辻君、みんなが待っとるよ。早く出てこいや・・・。

ああああああ、気がついたら「出雲」に発つ時間じゃ・・・。
来週の「センタッキー」戦でも精一杯のプレーを期待しとるよ。
ではみんな元気でな。
               水道橋野球神社・御祭神  神様


背番号4
高乗正臣

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