草魂カップ準決勝
キングス 0 3 0 2 0 0 1 6
千住オールスターズ 0 0 0 0 0 0 0 0
(二)涌井 藤田
(一)中川2 高乗智2 上村雄 藤田 和田
(投)トクナオ
「会長観戦記 2001.10.14」













 10月14日(日)午後1時55分、北野球場、GBN大会準々決勝、対戦チームは千住オールスターズ。肩痛のため、ベンチで観戦。久々の完勝という形容詞がぴったりのゲームだった。
 1回表、先頭打者の雄高が目の覚めるような当たりで左中間を抜いた。1塁コーチの制止を振り切ってセカンドへスライディング、微妙なタイミングでアウト。しかし、この雄高のヒットの意味は大きかった。キングスの選手全員に「いけるぞ!」というムードを作ったのだ。また、ひとつ先の塁を奪おうとする前向きの気迫は気持がいい。この雄高のヒットでベンチは盛り上がり、ゲームの流れをキングスの方へ向かわせるベースを作ったといえる。
 予感通り、その流れは、すぐに来た。2回の表、1死後高乗智がレフト前にヒットを放つと、次の和田の時にヒットエンドランのサイン、和田が野球の教科書通り、きれいにライト前にヒット、また、つづく中川も初球をライト前にクリーンヒットで満塁と攻めつける。ここで、涌井がしぶとくエンドランを決めて1点を先取。さらに、2死1.2塁から、藤田がこれも初球を右中間にクリーンヒットを放って2点を追加。まったく見事な連打、見事な集中攻撃だった。特に、三日前から初球を狙うことを決めていたという藤田のバッティングは素晴らしかった。この藤田の気迫の一打がゲームの流れを決定づけた。
 ベンチのムードは最高潮、全選手から大きな声が出ていた。この雰囲気が内野陣に影響したのか、1回裏のサードゴロを雄高が逆シングルでおさえてアウトにしたほか、いい当たりのセカンドゴロを腰を落としてがっちりと捕球した石井の堅実なプレーが光った。中でも、とりわけ中川の華麗な守備がひときわ目立った。難しいショート前のゴロを前進して好捕、捕球した瞬間に1塁へ送球して完璧にアウトにした2つのプレーには両軍のベンチから歓声が上がったほどだった。それに加えて、このゲームでは5ー4ー3のダブルプレーが2つ見事に決まった。いやはや、キングス内野陣はこんなに巧かったのかと認識を新たにした。
 さて、中押しが欲しいところ、4回にまた流れを引き寄せた。2死ノーランナーから中川がアウトコースのきわどいボールを選んだのがきっかけとなった。2ー0と中川を追い込んだ相手投手が外角一杯に速球を投げ込んだ瞬間、キャッチャーは立ち上がって自軍のベンチに帰る姿勢を示した。球審はしっかり見てボールの宣告、そこから二幕目のドラマが始まった。一球ボールのあと、中川が外角球を引きつけてセンター前にクリーンヒット、すかさず盗塁を決めたあと、つづく涌井がこれまた右打ちの見本を見せた。外角球をきれいに右中間に運ぶツーベースヒット、中川生還で1点、さらに藤田がボールに食らいついてライト前にヒットを放って涌井をむかい入れ2点目。見事な中押しの追加点となった。
 ところで、先発のトクナオは、被安打2、四球1、死球1、奪三振6、残塁2という安定したピッチングを披露した。特に、外野への飛球はゼロ、相手打者をすべて内野ゴロにしとめたのは立派だった。また、このゲームでのトクナオの投球には、「気持」が乗っていたように感じられた。右バッターの内角をえぐる速球には「打てるものなら打って見ろ」といわんばかりの気迫がこもっていた。剛球一本やりかと思いきや、打者によっては初球をカーブから入るという繊細さも身につけた投球は見事だった。間違いなく、トクナオにエンジンがかかってきた。
 ゲームの流れは待っているのではなく、自分達の力で呼び込むのだということを実感した試合であった。今日来なかった砂川と倉を加えて、さらにもう一段階上を目指せるチーム作りに期待を持たせる好ゲームであった。。


2001年10月21日
背番号4
高乗正臣


                                      
                                         
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