「キングス野球の原点」

 今回から、「リレーコラム・選手の気持」が始まるという。
 このコラムに選手同士の意見交換やチームへの期待・要望などが示されて、より一層キングスの野球が楽しいものになることを望みたい。リレーコラムの初回にあたって、キングスの野球の原点とは何かを考えてみたいと思う。

 キングスは野球部同窓生の集まりではなく、勿論会社を母体とするチームでもなく、純粋なクラブチームである。野球を心から愛し、真剣にプレーに取り組む人ならば、経験・未経験を問わず入部できる。職業も、年齢も異なるメンバーが集まり、目標を一つにして力を合わせる草野球の典型的な見本のようなチームである。
 何がみんなの心を一つにしているのか。それは、第一に「向上心」、第二に「全力プレー」、第三に「内容のある野球」に対するひたむきな姿勢ではないだろうか。
 選手は各自個人の課題を持ち、同時にチームの課題を意識して、練習と試合に真剣に取り組む・・・

 ストロングリーグのホームページに、かつて『白球幸福論』という文章を書いた。その一説を引用しよう。
 「試合に勝って野球に負けるようなゲームはしたくない。ゲームに対しては、当然勝ちにいくが、ただ勝っても楽しくない試合があり、負けて悔しいが楽しい試合もある。それは、選手個人が楽しかったか、充実していたかという次元ではなく、チームが楽しかったか、充実感を味わったかで決まるように思う。私の理想は、ここにある。つまり、選手個人個人の充実感とチームそれ自体の充実感が合致するとき、本当の理想の野球ができたと思うのだ。このようなとき、心の底から『今まで野球をやってて良かった』『野球をやってて幸せだ』と感じる。こんなときは、とてもまっすぐ家には帰れない。夕方のファミリーレストランのテーブルのまわりに選手の笑顔が揃うことになる。窓に映る夕焼けがとても美しく見え、ナイン一人一人の笑顔にしみじみ と幸せが漂う。このような試合を1試合でも多く、このような時間を1分でも多く、選手のみんなと共有したい・・」

 これがキングス野球の原点だと思う。


2006年3月
背番号4
高乗正臣


                                      
                                         
リレーコラム目次へ戻る